◆ STAGE 1:SLOWの始まりと東日本大震災
介護員と長距離トラックドライバーの挑戦
創業者の佐藤美和(現弊社取締役)は元々介護福祉士として働き、人を癒し、役に立つことに喜びを感じていました。
夫である私(現弊社代表取締役・佐藤和弘)は、当時長距離トラックドライバーとして、石巻〜名古屋間を週3回往復する激務をこなしていました。
そんなある日、妻である美和が私の疲れを癒す為、足つぼマッサージのワークショップに友人と参加しました
その時は想像もしていませんでしたが、この無料の足つぼワークショップが私たちの人生を大きく変える事になります。
ワークショップに参加してからの美和はどんどんマッサージの魅力に目覚め始め、ついには勤務していた施設を退職。
リラクゼーションサロンで働きながら、並行して整体技術のスクールに通うようになります。
するとどんどんお客様から指名されるようになり、いつしか「自分のサロンを持ちたい」と夢を語るようになりました。
二人で資金を貯め、私も運転手の傍ら経営の本を読んで勉強し、美和はサロンの構想を具体化させていきました。
そして、2010年6月12日、石巻市にあるイオンモール前の小さな一軒家テナントに、念願のサロンをOPENしました。
軌道に乗ったサロンを諦めかける・・・
順調だった起業から10ヶ月後の2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。
東日本大震災は、地震が多い地域の私たちですら経験したことのない程に激しく、永遠に続くのかと思ってしまうほどに長いものでした。
そして、イメージしていたスケールとは桁違いの巨大津波は、私達が恐怖と絶望を感じるのに十分すぎるものでした。
私たちは住まいを津波で失いましたが、サロンと人は無事だっただけ、被害は少ない部類だったと思います。
しかし、頑張って技術を学び、頑張ってサロンを軌道に乗せた矢先だった為、私たちはその理不尽さを思い、思わず涙が出る日もありました。
常連のお客様が繋いでくれた、SLOWの命
震災から2ヶ月くらい経ったある日、常連のお客様から一本の電話がありました。
それは、「瓦礫撤去作業でへとへとだから、少しでいいからマッサージしてもらえないか?」という切実な要望でした。
「腹の足しにもならない、暖も取れずお湯も沸かせないマッサージなんて、今の石巻で誰も必要としていない」と思い込んでいた私たちは意外な電話に驚きましたが、話し合い、限定的にサロンの再会を決意しました。
すると、話を聞きつけた常連様が連日押し寄せ、店は連日予約でいっぱいになりました。
一度は諦めかけたサロンの営業ですが、お客様から背中を押され、私たちは再び前を向いて進み出すことができたと思っています。
サロン再開のきっかけを作ってくれた常連の「Fさん」
久々のマッサージ後に見せてくれた満面の笑みと「ありがとう、助かったー!」という嬉しい言葉。
この方は数年前にお亡くなりになりましたが、その満面の笑顔と言葉に、私たちは莫大なエネルギーをいただきました。
Fさん、こちらこそ、本当にありがとうございました!
諦めないで、道を切り開く
サロン再開から数週間、SLOWは再度継続の危機を迎えました。
それは「震災の被災起業のためにためにテナントを明け渡さなければならない」という、テナントオーナーからの一方的な退去要請でした。
それは決定事項であり、私たちに選択権はなく、受け入れざるを得ないものです。
しかし、お客様からの後押しで何とか再開できたSLOW。
ここまできたら、私たちに「諦める」という選択肢はありませんでした。
私(現代表・佐藤和弘)は、長年勤めていた長距離トラック運転手の仕事を退職。
全く未経験ですが、経営者として妻のサロンを一緒に支えていくことを決意。
2012年4月に新たに建設された商業施設へサロンを拡大移転。
スタッフも雇用し、法人化するという挑戦を始めました。
ある日、当時受付をしていた私がお客様から
「ほぐした後にオイルで流してもらえたら最高なのになー」
と言われました。
他愛もない会話でしたが、その時「確かにそうだな」と思い、みんなで一緒に試行錯誤、意見を出し合い、私たち独自の技術『整体オイルケア』が生まれました。
石巻に競合店が増えても、全国チェーンの格安店が増えてもSLOWが10年以上残り続けられている多くの原資は、この一番大変な時期に生まれています。
お客様からの応援がなければ、今のSLOWは存在していないのは間違いありません。
◆ STAGE 2:美容への新な挑戦
全国各地を飛び回り、果てはシンガポールまで・・・
リラクゼーションでお客様の疲れを癒してきた私たちですが、「脚を細くしたい」「痩せたい」「小顔になりたい」という美容の要望が寄せられるようになりました。
美容分野について未経験だった私たちは、日本最大の業界見本市「ビューティーワールドジャパン」に参加し、業界の著名なプレイヤーやメーカーに指導をお願いしました。
今思えば笑ってしまうほど無邪気に学び続け、日本全国はもちろん、シンガポールまで技術を学びに行くほど貪欲に学び続けました。
この時期は交通費だけで年間数百万円。
利益や私財、総動員で学びに投資しました。
気付けば、いつしか学ぶ側から教える側に
夢中になって学び続けた結果、気付けば私たちは日本を代表する業界のリーディングカンパニーから公認インストラクターとして招かれるようになり、技術を学ぶ側から教える側へと成長を遂げました。
お客さんとして参加していたビューティーワールドでも、いつしか出展者側として毎年参加するようになり、全国の何百というサロンオーナー様に技術研修を行ってきました。
◆ STAGE 3:美容のPROに向けた、新たな領域への挑戦
更に上のステージを目指して・・・
現在、私たちは祖業であるリラクゼーションSLOWに加え、新たにオープンしたエステサロン・SLOW BEAUTYを運営しながら、全国のエステサロンや理美容室、ネイルサロン、アイラッシュサロン、整骨院などに対して、商材の卸売と技術講習を提供するBtoB事業も行っています。
このBtoB事業を始めた背景には、業界内に広がる「収益優先」の傾向への強い危惧があります。
SNS集客や一時的な「バズり」ばかりが重視され、本質的な「癒し・キレイで人を笑顔にする」という目的が失われつつある現状を変えたいと考えています。
私たちは現場で培った「サロンにとって本当に大切なこと」を業界全体に伝えるため、2020年から化粧品の卸販売と技術提供による価値創造を始めました。
私たちの使命は、この業界に「目の前の人を癒し、キレイで笑顔にできる人」を増やし、地域や日本全体の笑顔に貢献することです。
石巻に貢献できるサロンを目指して・・・
「美味しい一杯のラーメンを求めて、遠くから人が集まる」
飲食では聞く話ですが、リラクゼーションやエステサロンは集客ばかりに気を取られ、「地域最安値」「価格競争」を競い合いがちです。結果、お客様への提供価値向上を忘れられがちなサロンが大多数です。
SLOWでは、異業種なら当たり前にある「遠くても行きたくなるお店」を目指しています。
このビジョンを掲げる理由は、地元の人はもちろん、遠方からのお客様利用が増えれば地域経済にも少しは貢献でき、一緒に働く従業員の待遇改善にも役に立ち、巡り巡ってより高品質なサービス提供を実現することに繋がるビジョンだと考えているからです。
石巻に、癒し、キレイの産業を創出する
私たちの夢は、癒しとキレイで地域と業界に貢献することです。
東日本大震災の際、お客様や地域の方々に沢山支えられ、私たちの今があります。
また、全くの素人だった私たちに手を差し伸べてくださった大手化粧品メーカーの方々など、業界の方々にも多大なご支援をいただきました。
今、SNSに加えてAIが進化しています。更に今後AGI(汎用人工知能)が登場すれば、私たちの生活や価値観が大きく変わり
「人」とは何なのか
「幸福」とは何なのか
「仕事」とは何なのか等、より本質的な価値観を見直さざるを得ない時代が来ると言われています
私たちは、どんな時代でも変わらない「ホスピタリティ」を大切にし、これからの時代に必要とされる癒しとキレイで沢山の笑顔を生み出していく企業として進み続けていきます。
株式会社KORE E-SPE
代表取締役 佐藤和弘
取締役 佐藤美和
SLOW group salon